スカイ・クロラ
絵柄がのっぺりしているので好みじゃあないかな? と思いきや、やられました。押井監督の作品の中では格段にストーリーが明快で、エンターテイメント性も高いと思います。架空の世界ですが、とてもわかりやすいし、人間の命題というか、普遍的な性に触れている感じるところのある作品だと思うので、多くの人に見てほしいです。

…相変わらず、暗いけどね。設定自体、出口が無いというか…。
淡々としているのに、物語のひっぱり方がうまくて、わりと長い作品だと思いますが、最後まで集中力が途切れません。SF好きの友達に言わせると、設定としてはありがちな話だそうですが、SF本を普段読まない私は感心してしまいました。

「君は生きろ。何かを、変えられるまで。」

のシーンで、自分が女性であるせいか、ヒロインに同調して泣けて仕方がなかったです。

何故生きるのか? 何故生かされるのか?
あの人はどこへ行ったのか? 私はどこへ行くのか?

誰しもがキルドレであった思春期の時代に、出口の無いぐるぐるに嵌りこんで身動きできなくなり、でもふと気付くと、今日も花が咲いて、雨が降って、また晴れて、大切な人がいて、今日の景色は確実に昨日とは違う。
私自身が、そう信じたいのだと思います。

●気になった箇所
1.)自分達の出生の秘密に「気付いてしまうキルドレ」と「気付かないで済むキルドレ」には、確実に、人間の進化の過程に似た何かがあると思うのですが、明確に個体に差があるのでしょうか。たとえば、「偶然長生きしてしまった」とか「誰かに対する愛情や執着が生まれてしまった個体」とか「遺伝子操作上でのバグ」とか? バグだとすれば生殖能力を持たせたこと自体が甘かったと思いますが、生殖能力を持たないと闘争心がなくなるから、キルドレの存在自体が成り立たなくなるね。
2.)同じ押井監督の「攻殻機動隊」の主人公の名前が「草薙素子」で、「スカイ・クロラ」のヒロインの名は「草薙水素」で一文字違い。何か関連がある?


●個人的な出口への解決策
自分達のゴーストに気付いてしまった女性のキルドレは、じゃんじゃん子供を産む。死なないので、何人でも産めるから、死なない限りじゃんじゃん産む。
そうすれば、確実に何かが変わる。変わらざるをえないから。
だけど会社に公になってしまうと、また遺伝子操作で子供を産めない体に改良されてしまい、それはそれで問題にはなりそうですが…。


スカイ・クロラ 公式サイト
  監督/押井守
06:42 | かつげき ● 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
バウハウス・デッサウ展
 抽選に当選したので行ってきました。ラッキー。なにが一番ラッキーって オ シ ャ レ 図 録 を タ ダ で も ら え た のが個人的に一番うれしいというか、それが目当てだとかは言うまでもな(略)

●よいこのための「バウハウス」の説明
オシャレ最先端(だった)昔のハイクオリティ芸術学校。生活中に、バウハウスの影響下にある物が無い、という人はいないと言い切りたい位、その活動は現代のプロダクト、インテリア、グラフィック、建築など各種デザイン界の礎となっている。…………よね、たぶん。(←ちゃんと勉強してなかったのでひよってる) 〜説明おわり〜

 私は学生時代、ろくすっぽ授業を聞いていなかったようです。デザインを選考したので、習ってないわけがないのだが、展示の説明書きを読んでも、み ご と に 全 然 お ぼ え て な い 。

ヨハネス・イッテンやクレーやカンディンスキーが、実際にバウハウスの講師だったなど

Σ(゚Д゚;)アラマッ 嘘だ! そんなの聞いてない!

バウハウスという学校自体の歴史を追いながら、授業内容、活動内容の現物が展示されており、実 物 作 品 つ き の 教 科 書 を見せてもらってるみたいで、勉強になる事この上ない。

 展示品については、特にプロダクトデザイン史に興味ある人は、ヨダレ出まくる内容では?個人的には、版画技術〜印刷物の歴史、その時代のグラフィック、タイポグラフィなど、平面におけるデザインと技術がわかる作品と説明を多く見たかったのですが、二次元分野がメインの展示ではなかったです。

 残念なのぐぁ! ポスター作品が実際の昔の印刷物じゃなくて、複写が多かったことです…。

一番興味をひかれたのは、オフセットで刷られた、その名も「オフセット」というデザイン誌の表紙。これが20年代の9色印刷なのですが、ガラスの保護板に鼻の脂ひっつくぐらいひっついてジロジロ見たけど、モアレとか全然無い。網点も見えない。色もうちのエプソンのプリンターに遜色ないくらい発色が綺麗。くやしい。(意味不明)

 説明書きは、詳しすぎて背景をさっぱり知らない私にはむつかしくてよくわからなかったけど、(専門用語や、活躍した人々の説明がいっぱい)美術史、デザイン史に詳しい人はすごく面白いと思います。ちょっぴりでいいから、背景をさらっとおさらいして行っていたら、なお良かったなーと思った。

● 余談
美輪明宏が、「無機質な建造物に住むと、人は精神を病むのよ。だからバウハウスの学生たちにはノイローゼがすごく多かったの」と言っていた。でも、まさか建築物だけが理由じゃないでしょう? 時代が不安定だったからでしょう? と思っていたぐぁ! 展示品のひとつ、バウハウスの校長室の原寸再現模型や、生徒用宿舎の写真を見て、

… (゚Д゚;) あ、これは病むね、私なら。

 そおいう、あまりにも曖昧さや揺らぎの許されない空間って、美しいけど、なぜかとても不安になる。美術概論の勉強とかしてた人いましたら、どう思いますか。病みませんか?


● バウハウス・デッサウ展 東京藝術大学大学美術館 〜7/21迄
 www.bauhaus-dessau.jp
17:10 | げいじつ ● 芸術 | comments(0) | trackbacks(0)
パラノイドパーク
paranoid park渋谷で映画「パラノイドパーク」を観てきました。

ふ〜。こういうのは身近な映画館で演ってなくて、危うく上映期間に間に合わないところだった。もっと多くの場所で公開してほしいものです…。随分前から期待していた、ガス・ヴァン・サント監督の新作。

思春期の世代の子供たちをドキュメンタリー風に、あたたかくも客観的に、かつ子供たちの目線からリアルに描いた作品を多く撮っていて、お気に入り監督のひとりです。大概は年齢を重ねると、若い世代に対し上から目線になりそうなものですが、逆にどんどん研ぎ澄まされ、現実感が増した描き方になっています。

期待した以上に興味深かったです。

シンプルな演出ですが、それがかえって緊迫感を持たせます。演じた子供たちは、おそらく素人の少年たちで、スケボーをやっていたから抜擢されたんだと思います。彼らがプロモーションで来日したときの映像をチラっと見ましたが、ほんとに普通〜の男の子でした。

感想を書くのは野暮に感じるような映画なので寸評にしてみます。

● スクリーンが狭い!(たぶん撮ったフィルムの制約) TVサイズの映画って久しぶりに見た。
● そもそも取り調べの時点でアレックス(主人公)だけが怪しい。
● ジェニファー(主人公の彼女)うぜえぇeeeeeee
● アレックスとジャレッド(その親友)は中流階級の普通の家の子なんだね。
● 弟は少し知的障害があるの?
● ジェニファーは処女なのになぜあんなに段取りがうまい?
● メイシーは何故あんなに聡いの?

サインメイシーは唯一、救いのある存在で、なんだかマリア様のよう。笑 幼馴染の設定なのか、もしくはアレックスがなんとなく憧れを感じ、姉さんのように頼りにしている良い友達、という設定なのか、はっきりとは描写がないけど、こういう多感な時期にこういった人に出会えるのってほんとにラッキーなことだよね。

映像ももちろん、音楽の使われ方も綺麗。わざと劇中でおこってることとチグハグな音楽が重なったり、例えば彼女に別れを切り出す箇所でキッチュなラブソングをかけたりするんで、その噛み合わなっぷりがアレックスのチグハグな心情と気持ち悪い具合に合ってるのが気持ち良いから気持ち悪い、みたいな。

ショッキングなシーンがあるため、R12映画でしたが、主人公位の歳の子に見せたらどう感じるんだろう。道徳の時間(もう最近は無くなったの?)とかに強制的に中学校とかで見せて感想を訊いてみたいです。普通に、「きもーい」とか言われんのかね…。

気付きたくない気持ちをわざわざ揺り起こされるから、多感な時期にみたらちと怖いかな。私はもう年とっちゃったけど、それでもシャワーのシーンがすごく怖かった…。不安で悪いことばかり頭の中が真っ黒で塗りつぶされて、何も考えられないのに、五感は妙に鋭敏になって、周りの音がキンキン身体に響いてくる…。そのときのアレックスの気持ち↓

「どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう」

誰もがとおりすぎてきた感情なので、否が応でも共感させられてしまいます。ファッションがおしゃれなので、雑誌にはスケボーキッズ必見、と紹介されてましたが、そうでなくてもオススメ。(*゚∀゚)b


●パラノイドパーク Paranoid Park
 ガス・ヴァン・サント/監督
 http://paranoidpark.jp
03:41 | かつげき ● 映画 | comments(0) | trackbacks(1)

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